人形山車の特徴
一般には黒牛に曳かせた二輪車の上に三層の構造物があります。(二段上下可変式)
最上部には人形、次が上段幕に囲まれた枠、一番下が見送り幕で囲まれています。(二匹の牛で二日間曳いて金一両の雇銭であったという。)
高さの制限に対応しています。江戸城に入って将軍の上覧に供したことによります。すなわち、江戸城には三十六箇所の見付(桝型を持つ城内の外方に面する部分で見張りをするところ)があり、その門がくぐれるように上げ下げ可能に造られています。
人形などの飾物は、町の成立や職種などを加味したものや、民間伝承、古事記、中国の英雄や歴史上の人物などがあります。
万町一丁目
天照大神、劉備玄徳
あまてらすおおみかみ
天照大神
りゅうびげんとく
劉備玄徳
※ 見どころ・概要・説明は「天照大神、劉備玄徳」共通です。
山車の見どころ
岩座 | 四神の彫刻(三味線胴) |
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上段幕 | 緋羅紗地に飛竜・波頭紋(一枚続き) |
中層 | 極彩色で魅せる十二支の彫刻 |
囃子座 | 雲と群鶴の彫刻 |
山車の概要
作者 | 人形師・三代目法橋 原舟月 |
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制作年 | 明治26年(1893) |
寸法 | 高さ8.89m、長さ3.54m、幅2.07m |
御仮屋 | 山車会館 |
山車の説明
車は三輪で、その内前輪は轅に締結した古式を踏襲したものであるが、車輪の外輪に洋風の手法が加わった珍しいものである。人形座は軸部構造からの「せりあげ」となっている、腰組を支える地覆は隅や中央に金具型の装飾を付けてある。特に囃子座の上部の長押上には雲と群鶴の彫刻があり、見事な出来となっている。
中段は三つ割とし、アーチ状の縁を連続し、その中に十二支の彫刻を配してある。岩座は黒塗の三味線胴で四神の彫刻が配置してあり、彫刻と金具型隅飾りは金箔押しで、黒塗の胴によく映えている。
上段の幕は緋羅紗地に飛竜・波頭紋刺繍の四面一枚続きである。見送幕は色違い錦襴の縫い合わせで、四隅に朱の揚巻がついている。
万町二丁目
やまとたけるのみこと
日本武尊
かんううんちょう
関羽雲長
※ 見どころ・概要・説明は「日本武尊、関羽雲長」共通です。
山車の見どころ
岩座 | 青龍の彫刻(三味線胴) |
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上段幕 | 緋羅紗地に飛竜・雲紋 |
中層 | 金箔のかかった波に千鳥の彫刻 |
囃子座 | 雲紋と宝づくしの方形板を市松に配置 |
山車の概要
作者 | 人形師・三代目法橋 原舟月 |
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制作年 | 明治26年(1893) |
寸法 | 高さ8.75m、長さ3.80m、幅2.18m |
御仮屋 | とちぎ信用金庫本店の南隣2軒目 |
山車の説明
車は三輪であり、前輪は組込み固定されている。腰を支持する地覆は中を引き抜き、波の彫刻にするなど技巧を凝らしている。囃子座上部の欄間装飾も、雲紋の中に宝づくしの方形の板を市松に配する奇抜な意匠の装飾になっている。見送幕を支持する胴廻りの柱も、地彫りを施した見事なものである。中段部分は、波に千鳥の彫刻に金箔が総体にかかり異彩を放っている。
上段の幕は緋羅紗地に飛竜・雲紋を施した華麗なもので、高度な繍技によって表現されている。
見送幕は錦襴の縫い合わせで、裏地は印度更紗であるが配色も上品で優雅な幕である。
万町三丁目
すさのおのみこと
素盞嗚尊
ちょうひよくとく
張飛翼徳
※ 見どころ・概要・説明は「素盞嗚尊、張飛翼徳」共通です。
山車の見どころ
岩座 | 朱塗りに金箔の竜の彫刻(三味線胴) |
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上段幕 | 白地の羅紗に四神の刺繍 |
見送幕 | 七宝を朱とし亀・牡丹・菊が織り込まれている |
囃子座 | 金箔の雲形彫刻に鳳凰の彫刻を重ね付け |
山車の概要
作者 | 人形師・三代目法橋 原舟月 |
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制作年 | 明治26年(1893) |
寸法 | 高さ7.61m、長さ3.60m、幅2.18m |
御仮屋 | ホテルサンルート栃木北側 |
山車の説明
車は三輪である。蹴込みは黒檀地板に唐獅子彫が付されているが高度な技術によって彫られている。囃子座上部の長押は金箔の雲形彫刻に鳳凰の彫刻を重ねて付けて、柱は菊の透し彫りが付けられ豪華である。台座の三味線胴は黒塗の花鳥彫りであるが、鳥のみ箔捺となっている。岩座の三味線胴は朱塗りに金箔の竜の彫刻が付いており、その上は同じく朱塗りの刎高欄となっている。
上段幕は白地の羅紗に朱雀・青竜・白虎・玄武の四神の刺繍があり、高度な技術によってよく映えている。
見送幕は錦襴で七宝を朱とし亀・牡丹・菊が織り込まれ、色調・文様とも整い、上段幕とも調和し全体が見事な出来映えとなっている。
泉町
かんこどり
諌鼓鶏
山車の概要
作者 | 不明 |
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制作年 | 明治7年頃 |
寸法 | 高さ7.59m、長さ4.10m、幅2.82m |
御仮屋 | 栃木蔵の街郵便局北側 |
山車の説明
昔、中国の尭帝が、その政治について諌言しようとする人民に打ち鳴らさせるため、朝廷の門外に太鼓(諌鼓(かんこ))を設けました。
良い政治が行われていたので永い間太鼓をたたく者が無く、鳥が太鼓に巣を作ったといいます。その故事にちなんで諌鼓鶏は天下泰平の象徴であるといわれています。
室町
ももたろう
桃太郎
山車の見どころ
欄間 | 花鳥牡丹箔捺 |
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山車の概要
作者 | 大沢銀之丞 |
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制作年 | 明治38年(1905) |
寸法 | 高さ7.66m、長さ3.32m、幅2.21m |
御仮屋 | 山車会館 |
山車の説明
車は四輪である。人形座の匂欄、中段、腰、囃子座の各匂欄も同じ意匠で統一している。囃子座上の欄間装飾は長押を二重に廻して安定した構えとし、その上下を彫刻で飾り、調和のとれた欄間となっている。
胴の廻りの彫刻も廻りに縁を付け、均衡と安定感を出している。腰組を支える地覆も卍くずしの地彫を施し、隅や中央に付けた金具型の板飾りも七宝の地彫でよく調和している。全体的には三味線胴を小型にして均整をとった作りであり、バランスのとれた品の良い山車である。
倭町一丁目
おじし・めじし
雄獅子・雌獅子
山車の概要
作者 | 不明 |
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購入年 | 明治7年 |
寸法 | 雄獅子:高さ81cm、、長さ66cm、幅102cm 雌獅子:高さ69cm、長さ66cm、幅98cm |
御仮屋 | 足利銀行 栃木支店南側 |
山車の説明
獅子は厄除けの神として祝の諸行事に使われてきた架空の動物。金箔に生うるしで仕上げた特殊の光彩と調和のとれた形のよさはなかなかの絶品。幾度かの火災に夫婦協力してその難を逃れ和合火防の獅子といわれている。
倭町二丁目
じんむてんのう
神武天皇
山車の見どころ
人形 | 金のトビがとまっている弓を手にしている |
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岩座 | 牡丹、唐獅彫刻(三味線胴) |
上段幕 | 緋羅紗に金色の龍丸に雲 |
中層 | 黒塗の地紋に金箔の鳳凰彫り |
山車の概要
作者 | 人形師・三代目法橋 原舟月 |
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制作年 | 明治26年(1893) |
寸法 | 高さ7.91m、長さ3.38m、幅2.14m |
御仮屋 | 山車会館 |
山車の説明
この山車の特徴は、岩座の部分の三味線胴の背が非常に高いことであり、中層は黒塗の地紋に金箔の鳳凰彫りがあしらってある。
囃子台は黒塗の棒組みで落ち着いた色調で、反面蹴込みは極彩色で孔雀と牡丹の図柄が彫刻されている。特に素晴らしいのが囃子座の竜と欄間の雲、蹴込みの波の彫刻である。
上段幕は四面とも緋羅紗に金色の竜丸に雲を散らした刺繍である。見送幕は赤・白・緑の緞子が染め分けられた、木綿地となっている。
倭町三丁目
しずかごぜん
静御前
山車の見どころ
岩座 | 花菱紋 |
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上段幕 | 鶴に飛雲を配す |
欄間 | 青海波・牡丹の彫刻 |
山車の概要
作者 | 松雲斎徳山 |
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制作年 | 嘉永元年(1848) |
寸法 | 高さ7.01m、長さ3.81m、幅2.18m |
御仮屋 | 山車会館 |
山車の説明
囃子座上部の欄間と、胴廻りの欄間装飾を直線的にした独自の意匠で当時としては大胆なものであるとされ、すっきりとし品が良い。
この欄間は堆朱のような竹の節の羽目板で板には青海波の地彫りを施し、中の狭間は牡丹の彫刻になっている。腰の匂欄もめずらしく、一文字で上の欄間装飾との均衡を図っている。
水引幕は錦襴に巴紋を刺繍したもの、見送幕は金糸で若松の刺繍をしたものである。三味線胴下の鶴に飛雲を配した上段幕は図案もよく、人形とも調和している。
嘉右衛門町
にんとくてんのう
仁徳天皇
山車の見どころ
上段幕 | 「嘉」の刺繍 |
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欄間 | 金箔を施した豪華なもの |
額 | 「嘉街(かがい)」の文字 |
山車の概要
作者 | 中野瓣吉 ほか |
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制作年 | 昭和初期頃 |
寸法 | 高さ6.07m、長さ2.81m、幅 1.68m |
御仮屋 | 嘉右衛門町神明神社 |
山車の説明
第16代天皇。民の救済をし、善政に務め、慕われる。日本最大の前方後円墳大仙陵古墳(だいせんりょうこふん)で有名。山車は、本体が漆塗り仕上げ、欄間彫刻には金箔を施した豪華なもので、上段幕には「嘉」の文字を意匠化した刺繍が施されている。正面の額には「嘉街(かがい)」の文字が彫刻されている。
大町
べんけい
弁慶
山車の見どころ
欄間 | 花鳥の図 |
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柱 | 昇り竜・下り竜 |
山車の概要
作者 | 不明 |
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制作年 | 明治初期頃 |
寸法 | 高さ5.92m、長さ3.73m、幅 2.74m |
御仮屋 |
山車の説明
独特の型をもった山車で、前の柱には、昇り、下りの竜が彫刻されており、正面欄間は花鳥の図、千年の齢を寿ぐもの。裏格子は葡萄と木鼠で豊作のしるし。傍らに波に亀の彫。前垂は梅に鶯の彫。
京の五条大橋で牛若丸(源義経)と対決し、家来となるが、後に源頼朝に追われ、平泉にて仁王立ちの壮絶な最後をとげる。